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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第1章 武将と五百年後ノープランツアー 前



まあそんな事はさておき、問題は凪の隣で涼しい顔をしながら窓の外へ時折視線を流している謎のイケメンであった。謎の服装と謎のイケメンと謎の関係性。とにかく謎だらけである。予め凪には電話で、話せば長くなるから今は何も聞かないでとにかく口の固い運転手と共に迎えに来て、数日匿って欲しいと言われた時は一体何事かと思ったが、なるほどと事情はまったく見えないが何となくは察した。彼方は頭が割と柔軟な質なのである。

「まあそれはいいとして…どうなってるの、凪」
「ん?なにが?」
「何がじゃないのよ、突っ込みどころ有り過ぎて困るけど、まず隣のイケメンなに。山で拾ったの?」
「ほう…?俺は山で拾われた事になっているのか」
「なってませんよ…!」

膝の上に肘を軽く置き、頬杖をつく体勢になりながら隣に座る凪の顔を覗き込んだ。ちらりと視線を謎の白いイケメンに向け、再び凪へ向けて突っ込めば、イケメンが微かに金色の双眼を眇めて笑う。艶のある低音、声までイケメンか、と内心で突っ込んだ彼方は言い返している凪を観察した。

「山ごもりしてた割に小綺麗だし…そもそも何であんたも和服?可愛いけど暑くない?」
「うーん、何かもう慣れちゃったかな」
「ずっと山で和服だったわけ?」
「いや、別に山に居た訳じゃないんだけどね…」

実際に山に籠もっていたと思っている訳ではないが、音信不通になった理由が分からない以上、山としか言いようがない。何故全員和服なのか、何故こんなにも当たり前の事で驚いているのか、そして何故全員顔がいいのか。突っ込みどころが有りすぎて一人では追いつかない。突っ込みが渋滞状態である。改めて彼方は凪の隣に座る、白い男を見た。そしてふと着物の胸の辺りにあるものを視界に入れ、切れ長の目を幾度か瞬かせる。

「ていうかお兄さん、明智光秀か何かのファンなの?コスプレ?」
「か、彼方…!!」

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