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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第2章 武将と五百年後ノープランツアー 後



突然の出来事にびくりと肩を跳ねさせた男達は、咄嗟に撃たれた方向に向かって銃を構える。けれども彼らの正面にあるのは小さな砂の山だけであり、そこに隠れて撃つなど、子供でなければ無理であった。

「な、なんだ…ガキでも参加してんのか?」
「ガキ相手でも容赦しねえぞ」

そう言って砂山を一人の男が撃つ。小さな山は崩れる事こそなかったが、水の跡が歪な形でつくだけだ。しかしその刹那、今度は正面からではなく、男達の真横から水が飛んで来た。一番左端に居る男の足元ぎりぎりを抉った水に跳ね上がり、後退する。次いでもう一発、手前にいる男の真横を水が勢いよく通り過ぎていった。がっ、と音を立ててフィールドの柵代わりとなってるブルーシートへ水が当たり、彼らがひやりとした心臓を落ち着かせるように声を漏らす。

「ただの下手くそじゃねえか、さっきから全然当たってねえ」
「もしかしたら当てずっぽうに撃ってるだけかもな」
「今水飛んで来た方、こっちから乗り込むか」

際どいところは狙って来るものの、掠めはしない事に余裕を感じ、男達が乗り込む準備をして銃を構えた。そうしていざ立ち上がろうとした瞬間、再び同じ方向から今度は木箱の側面目掛けて水が当たる。どっ!と鈍い音が響き、それに些か驚きを示した男が、苛立たしげに撃たれた方向へ向かってトリガーを引く。

「この野郎、舐めやがって…!」

先程から撃たれていたのは、L字型に設置されているサーフボードの隙間からであった。ひらりと黒いレースの水着が垣間見え、それ目掛けて男が撃つ。がががっ!と高い水圧をかけた一撃が長くボードに向かって放たれ、仲間が制止を紡ごうとした刹那、三人の足元へ三発、鋭い水が砂浜を抉る。しかしそれが、先程まで撃たれていた方とは真逆の位置から撃たれている事に気付き、三人が驚きと緊張で身を竦ませた。完全に挟み撃ちされている、そう錯覚してもおかしくない状況下で、今度は背後から、身を隠している木箱が撃たれた。

「!!?」
「おい馬鹿、残量考えろ…!」

あちこちから狙われているような錯覚に陥る中、一人がやけになってサーフボードを撃つ。

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