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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第2章 武将と五百年後ノープランツアー 後



「まとまりの無い連中だ。この場に謙信様がいらっしゃれば、烏合の衆も容易く鎮められるだろうがな」
「おい待て直江兼続、それは聞き捨てならねえ。信長様の偉大さをその目にすれば、それこそ皆、あまりの有り難さに平伏する筈だ。あの御方こそ軍をまとめるのに相応しい」
「………なんだと?」

兼続が溜息混じりに零した一言に、それまで幸村と家康を宥めていた秀吉が即座に反応を示した。二人の主君好きは張り合える程であり、決着がつかない時点でどう考えても不毛な言い合いである。相性が良いのか悪いのか、いまいち判断の難しいチームメイト達を見て、佐助がぽつりと零した。

「俺も向こうのチームに入れて貰うべきだったかもしれない」

とはいえ、それも後のまつりというものだ。乱世では敵同士であるこの組み合わせを上手く導き、何とか討ち死にさせないというのが佐助の使命である。新たに近付く気配を感じた途端、すぐに表情を改める武将達を見て、意外と皆勝負事に熱いな、と感心を抱き、佐助は迷彩柄の水鉄砲を構えたのだった。



──────一方その頃、光秀と凪ペア。

(み、光秀さんが百発百中過ぎる…!)

つい先刻、戦場をかき回すと宣言した通り、光秀の目にも止まらぬ早撃ちが三連続で炸裂した。後方の木の板裏から音も無く移動し、完全に気配を絶った男が少し離れた場所に居る高校生らしき男三人の背後を取った時は、さすがに凪も目を疑ったものである。確かによく、音も立てないで背後に立つ時あるよね、と妙に彼女が納得している中、無言で背後から撃ち抜くのではなく、敢えて銃を構える微かな音を立てた光秀が、済まないな、童(わっぱ)共、と短く告げて彼らが情けない悲鳴を上げる中、実に近距離で三発水を発射した。せめてもの情けなのか、顔面ではなく綺麗に肩へ当てられた高校生達は、ほとんど何が起きたのかも分からないままで討ち死にとなったのだった。

先刻のやり取りを思い出していた凪は、先程とは別の木板の陰に潜みながら、隣に居る光秀を見上げる。一度に三人をアウトにさせた後、彼が主立った行動を取る様子は今のところ無いようだ。

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