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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第2章 武将と五百年後ノープランツアー 後



「狙撃なんて卑怯な真似しねーで、堂々と勝負しろってんだ」
「残念ながら銃撃戦で正々堂々勝負するのは、西部劇のガンマンくらいだ、幸村」

佐助の報告を耳にした後、家康が溜息混じりに述べた。光秀から銃の指南を受けている身としては、彼の実力は正直認めざるを得ない。気を抜くと、あらぬ方向から水が飛んで来そうな気がして、肩を微かに竦める。正直なところ、あまり小細工だなんだといった事を好かない幸村が、赤いアサルトライフルを手に眉間を顰めた。戦場で一番槍を買って出る事の多い彼にしてみれば、こうして延々と様子窺いをするのは性に合わないのだろう。佐助の冷静な突っ込みを耳にしつつ、兼続が漆黒のアサルトライフルを片手に持った状態で腕を組み、視線を静かに伏せる。

「このような状況では、先知も何もあったものじゃないな。とはいえ、向こうの考えそうな事は大方予想がつく。周囲を片付け、他の参加者達を沈黙させた後、こちらへ向かって来る筈だ」
「向こうは三成と光秀の組み合わせだ。三成が正攻法を取って来たとしても、光秀の野郎がそうとは限らねえ。むしろ裏を掻いて戦場を引っ掻き回すような事をして……─────」

【残り三十五に、いや三十四……三十三人ー!】

兼続と秀吉がそれぞれ見解を述べている間に、暫く膠着状態であった戦場へ突如として動きが出た。間髪入れず減っていく人数を耳にして、五人はつい今しがた噂をしていた一人の男を脳裏へ過ぎらせる。

「あの野郎、本当に引っ掻き回し始めやがった…!」
「さすが光秀さんだな。水鉄砲でも巧みな銃の腕前は衰えないのか」
「あいつのにやにや顔が思い浮かぶ。光秀の野郎、凪を危ない目に遭わせてないだろうな」
「あの人に限ってそれはないと思いますけど」

恐らく光秀が動いたと思わしきアナウンスの後、あちこちから女性の悲鳴や男達の笑い声が響き渡り、中央で再び交戦が激化した模様だ。佐助が敵ながらあっぱれと称賛する中で、秀吉が眉間に皺を寄せつつ離れてしまった妹分に思いを馳せる。

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