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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第2章 武将と五百年後ノープランツアー 後



アナウンスを耳に入れつつ、光秀が木板の影から覗き見た先で、三人の男達が二人の若い女目掛けて水鉄砲を放っている姿が映り込んだ。見覚えのある彼らは執拗に若い女の胸元を狙って撃っており、その下賤な行為に光秀の眼が軽く眇められる。

【残り三十六人ー!】

「あ、あの人達…何処かで見た事あると思ったら、最初に声かけて来た三人組…!」

木板に背を預ける体勢でいる光秀と向き合う形となり、片手で男の白いパーカーを軽く掴んだ凪が頭をひょこりと覗かせて同じ方向を確認した。若い女を撃っていたのは、水着に着替えてから出会ったフラグナンパ男達であり、その姿に彼女がむっと眉間を顰める。

「こら、そんなに頭を出していては、気付いてくれと言っているようなものだぞ」
「あ、ごめんなさい」
「仮に狙われたとして、お前を他の者達に撃たせる気は毛頭無いがな」

穏やかな声で宥められ、ひんやりしていて大きな掌が凪の二の腕に触れると、そのまま体勢を戻される。正面から光秀へ抱き寄せられるような形となり、どきまぎしつつも謝罪を零せば、さらりと当然のように返された。その自信に満ちた発言が、決して虚勢などでは無い事をよく知っている凪は、胸の奥がきゅんと疼くような感覚に視線を足元へ投げる。女二人をアウトにした男達はいつの間にか別の障害物の影に隠れたらしく、再び覗き見た時には姿を消していた。けれども、本場の戦場を幾つも経験して来た武将達にしてみれば、素人が物陰に潜んでいようと、さしたる問題では無いというものだ。

「あの男達が無作為に撃ってくれていたお陰で、銃の性能も大方把握した。水の量を控えるには、短距離戦で片をつけた方が良さそうだな」
「え、さっきの一瞬の間に、もう確認したんですか?」
「ああ、それなりに威力もありそうだ。撃ち抜き甲斐がある」

(水鉄砲っていうところが、何か場にそぐわなくて可愛いなあ)

先程の撃ち合いを見て、大体の飛距離や水圧などを把握したらしく、光秀が抱き寄せていた凪の身体を解放する。あっと言う間の出来事に彼女が感心を寄せると、ライフルの銃身を肩へとん、と光秀が当てて見せた。

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