❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国
第2章 武将と五百年後ノープランツアー 後
普段のおっとりした雰囲気では無く、些か真摯な色を紫色の眸に滲ませた三成の姿へ凪が驚きを示した。共に戦場で策を練る事も多い光秀にとっては見慣れたものであり、愉しげに笑みを浮かべる。凪と揃いである水色塗装のアサルトライフルを手にし、彼方が感動した様子で眸を輝かせた。サバゲーとは別の楽しみ方を独自で見出している友人に、凪が苦笑を滲ませる。
【皆さん用意はいいですか?ウォーターガンサバゲー、ゲームスタートです!】
────────ピー!!
受付終了から十分経ったらしく、ゲーム開始の放送と軽快な電子音が響き渡り、早速ウォーターガンサバゲーが開戦の狼煙を上げた。凪達が身を潜めているのはサバゲーブース内の後方である。縦幅も横幅もある大きな木の板は身を潜める分にはもって来いであり、上背のある光秀の姿もすっぽりと隠れる程だ。やや離れたところでは女性の叫び声や男達の喧騒が響いていて、早速接触した組が撃ち合いをしている様が音だけではあるが、一応確認は出来る。
「は、始まったね…!」
「なんかちょっと緊張して来た。取り敢えず撃たれそうになったらせめて相撃ち狙うわ」
「頼もしい事だな」
「くれぐれも怪我にはお気を付けくださいね、彼方様」
「大丈夫大丈夫、こういう遊びは転んでなんぼ」
声を潜めつつ凪がアサルトライフルをぎゅっと握ると、彼方もさすがに緊張して来たのか、若干真顔で相撃ちを誓う。普段とまったく変わらぬ様子で、むしろリラックスしている光秀が小さく笑い、三成が気遣わしげな視線を向けて来た。片手をひらりと振って事も無げに告げた彼方がちらりと板の影から外を窺うと、遠くで激しく撃ち合っている若者同士が居る様を視認する。
「やり合ってる場所はちょっと遠目、他から狙い撃ちされてないって事は、様子見とか?」
「その可能性は多いに考えられるな。三成、お前はどう見る」
言いながら周囲の気配をさり気なく探る光秀に問われ、三成が片手を顎へあてがった。まるで本当の戦にでも臨むかのような真剣な様は、光秀の言う通り、まさに織田軍の頭脳と呼ぶに相応しい。