❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国
第2章 武将と五百年後ノープランツアー 後
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「ねー凪、これ見て!面白そうだから皆でやろうよ」
全員で和やかな昼食を終えた後、彼方がスマホを凪へ見せつつ、声をかけた。画面にはウェブサイトが表示されていて、それが現在一行の居る海水浴場である事を確認すると、凪が目を軽く瞬かせた。施設一覧のページには海の家などの食事系の紹介や温水シャワー、鍵付きコインロッカーや清潔感のある更衣室などが写真と共に載っていたが、その中にある珍しいものへ彼女の興味が向かう。彼方が声をかけて来たのも、これを目にしたが為であった。
「ウォーターガンサバゲー?」
「そうそう、海っぽくていいよね。てか施設がちょっとしたサバゲー感」
「さばげーとは何だ、凪」
凪の隣で話を聞いていた光秀が問いかける。彼女自身もさして詳しくはない為、彼へ軽く振り返りつつ思案を巡らせた。
「なんていうかこう……銃で戦う遊び、みたいな。あ、ちなみに銃は本物じゃなくて、人が傷つかない弾が出るものなんですけど」
「とはいえあれ、当たるとめちゃ痛いよね。目とか入ったらヤバいし。だからゴーグルとか装備揃えるんだけど」
「ほう……?要するに殺傷力の無い銃を使った模擬戦という事か」
「まあざっくり言うとそんな感じです」
「明智さんの理解力も大概ヤバ過ぎ」
サバゲーに関して簡単な説明をしていると、横から彼方が割り入った。何度か経験があるらしく、僅かに顔を顰めてみせる。彼女等の話の様子から、そう切迫した空気感の中で行われるものでは無いと判断した光秀が、大まかな理解の元で口にすると、二人が頷いた。
「つまり戦の訓練みたいなものか。こっちの日の本は平和だと思ったが、案外物騒な事もあるんだな」
「言い得て妙といったところです。とはいえ、サバゲーは遊戯の一種と気楽に考えて貰って間違いはないと思います」
「海で戦とか、どう考えても足場悪すぎだろ」
凪達三人の話を耳にし、秀吉が何とも神妙な顔を浮かべた。ある意味でまったくの平和とは言い切れない事実に、佐助が言葉を軽く濁しつつ、付け加えた。