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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第2章 武将と五百年後ノープランツアー 後



昼時という事もあって、店の列はそこそこ長い。回転率は割といい方なので、そこまで長時間待つ訳ではなさそうだが、まだ暫しかかるだろう。その間他愛ない会話をして時間を潰そうと、彼方が唐突に話題を振った。耳に慣れない単語がしかし、先程まで興じていた遊戯である事を察し、光秀が相槌を打つ。凪が海での光景を思い出したのか、くすくすと片手を口元にあてがって小さく肩を揺らした。手にしていたお品書きを戻し、彼方もまた思い出し笑いを零すと、彼女の隣に並んでいた三成が柔らかな笑みを浮かべる。

「あのように海で遊ぶ経験など今まで無かったので、とても楽しかったです。秀吉様を水攻めしてしまった事は心が痛むのですが……」
「お前も沈められていたんだ、両成敗という事にしておけ。結局、あの後一番多く沈められていたのは幸村殿だったな」

郷に入っては郷に従え、の通り三成も秀吉への水攻めに参戦したものの、よくよく考えれば乱世ではかなりの不敬である。五百年後に居る時点で無礼講だと、秀吉が気にする事はないが、困ったように眉尻を下げた三成を尻目に、まったくその辺りを気にかけない対極の男が口角を持ち上げた。

「光秀さん、途中で狙いを変えてましたよね」
「おや、気付かれていたか」
「気付きますよ、佐助くんと目配せし合ってたのも知ってます」

そういえば途中からは幸村ばかりが狙われ、彼が秀吉よりも多く沈められていた事は記憶に未だ新しい。凪が光秀を見上げて問いかけると、彼は端正な面持ちへ薄っすらとした笑みを浮かべ、くつりと喉奥で低く笑う。STOP作戦等を経て、ある意味意気投合(利害の一致とも言える)した光秀と佐助が組み、それへ兼続や家康も参戦する形となり、幸村総攻撃が行われた事を思い起こしながら、凪が男の金色の眸を見つめた。

「そう拗ねるな。お望みとあらば、視線など幾らでも合わせてやる」
「す、拗ねてません……!」

片手をおもむろに持ち上げ、よしよしと宥めるように光秀が彼女の頭を優しく撫でやる。

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