❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国
第2章 武将と五百年後ノープランツアー 後
ボールを軽く掲げて見せると、凪が頷いた。面々へ合流し、輪の中へ二人も加われば佐助が眼鏡を軽く押し上げて武将達を見回す。
「恐らく一度俺と凪さん、彼方さんで実践すれば伝わる筈だ。武将の皆さんは全員、呑み込みが速いから」
「そっか、じゃあ三人でやってみるね」
「オッケー」
言うや否や、彼方が早速手にしたボールをぽん、と軽く上げて凪へ両掌を当てる形でトスする。凪!と名を呼ばれ、ボールを視線で追った彼女が同じようにしてそれを上げれば、今度は佐助に向かってパスをした。
「佐助くん…!」
「ナイストス、凪さん。じゃあここから本番で、幸村」
「は!?急に投げてくんなよ…!」
凪から受けたボールを追い、軽く後方へ下がりながら唐突に開始を宣言すると、佐助は容赦なく隣に居る幸村に向かってボールを送る。完全に油断していた幸村が頓狂な声を上げつつ、間近に迫る球体を見様見真似でトスした、が、如何せん武将だからなのか、力がやたらと強かった。
「あ、あー……兼続!」
「ボール……この丸いの海に落としたら負けですよ!」
ぼん、と重々しい音が響き、緩やかな放物線を描いていた筈のボールが兼続の顔面目掛けて飛んで来る。凪が付け加えるようにしてルールを口にすると、それまで緩く腕を組んでいた兼続が小さな吐息を漏らし、顔面目掛けて飛んでくる鋭いボールの勢いを殺すようにしてとん、と両手で上げる。
「…凪」
「は、はい…!」
「さすが兼続さん、幸村の勢いしかないボールを上手くコントロールするとは」
「お前が急に投げて来るからだろ」
兼続の手によって柔らかく上げられたボールは、凪の上へ綺麗に落ちて来て、応えるようにトスをする。ぽん、と再び柔らかく上がったそれが今度は彼女の隣に居る光秀の方へ向かっていった。
「光秀さん!」
「ああ」
完全に主旨というか、遊戯の内容を把握したらしい光秀が、凪から受け取ったボールを上げて、それを受ける。