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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第2章 武将と五百年後ノープランツアー 後



脱いだ上着を荷物の上に軽く畳んで置き、光秀が凪の持つ鮫をやんわりと取り上げ、片手に持った。

「おいで、凪」
「うう……」

(やっぱり格好いいの、ずるい…!)

差し出された片手を取り、指先を絡める。鼓動がいっそうけたたましく鳴り響いている事を自覚しながら、二人手を繋ぎ、サンダルを脱いで白い砂浜へ足跡を刻んだ。



「あ、やっと来たねバカップルー」
「バカップルって言わないでっ」
「はいはい、バカップル。てか疑問なんだけど、武将って皆泳げるの?」
「カナヅチのイメージはないけど……光秀さんは?」

波打ち際へやって来た二人を見て、三成から借りたパーカーを脱いだ状態の彼方がからりと笑った。むっと顔を赤くして文句を言う凪を軽く流し、彼方が不思議そうに視線を海へ向ける。そこには家康を海に引き入れようとしている秀吉の姿があった。幸村と佐助は既に泳いでいて、興味無さそうに涼しい顔をしている兼続に水を割と容赦無くかけ、思い切り煽っている。ちなみに三成もまた秀吉と共に家康を海へ引き入れようとしており、何だかんだ楽しそうな様子に凪が笑みを浮かべた後、光秀へ問いかけた。

「人並みだな」
「明智さんの人並みって普通の基準じゃないでしょ、絶対」
「私もそう思う……余裕で遠泳出来そう」
「戦中、海を渡る事はないが、川を渡る程度の事は儘ある。もっとも、遊戯で泳いだ事はついぞ無いが」
「じゃあ今日が初めての遊泳ですね」
「そういう事になるな」

さらりと答えた光秀に、彼方と凪の何処と無く疑わしそうな眼差しが向けられた。二人のそれを受けて軽く肩を竦めた光秀が、さして何て事ないように口にすれば、凪が嬉しそうに笑む。こうして五百年後に来た事も何かの縁というものなのだろう、彼女の屈託ない楽しそうな笑顔を見れるのならば、この不可思議な状況も案外悪くはない。

「じゃ行こう!私三成くんと秀吉さんに加勢して来るわ」
「家康引っ張り込むの?」
「うん」
「光秀さんも行きましょ!」
「ああ」

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