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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第2章 武将と五百年後ノープランツアー 後



「無事人たらしの手管が発揮出来たようで何よりだ。次も宜しく頼むぞ」
「ふざけるな、都合の良い時ばっか人をこき使いやがって」

まったく悪びれた様子もなく、今後も秀吉に押し付ける気で居る光秀へ、織田軍の右腕の眉間がひくひくと動く。明らかに怒りを滲ませている主君を見て、三成がすかさずフォローに入った。

「秀吉様、お手伝い出来ず申し訳ありませんでした。ちょうど凪様と彼方様が、悪い虫に襲われそうになっていたようでしたので、光秀様と共に、お二人をお助けしに参ったのです」
「なるほどな。……だが三成、悪い虫の意味はちゃんと分かってるのか?」
「はい、それはそれはしつこい虫だったようで」

((絶対意味分かってないな、三成くん……))

秀吉も三成には態度を軟化させ、口にした言葉を確認しようと念の為に問いかける。ちなみに秀吉は光秀が動いたという時点で既に色々察している為、これ以上のらりくらりと躱す男相手に何を言っても無駄だと、自らの中で怒りを消化していた。微妙に会話が成立していない豊臣主従を見つめ、凪と彼方の内心が被る。話を一頻り聞いた後、秀吉が改めて凪達へ向き直り、すぐに眦(まなじり)を吊り上げた。

「こ、こらお前達!女は無闇やたらと肌を晒すもんじゃない。特に凪、そんな格好じゃ風邪引くだろ、ちゃんと上着を着なさい」
「え!?」
「主従揃ってパーカー着せたがるって、過保護ね」
「この暑さでは寧ろ風邪を引く方が難しいと思う、とは黙っておこう」
「声に出ているぞ、佐助殿」

秀吉のお小言の矛先が主に凪へ向けられ、彼女がぎょっとした様子で目を瞠る。やはり彼方もパーカーを着ている事から、自分も上に羽織った方がいいのだろうか、と懸念を過ぎらせると友人が半眼で茶々を入れた。水着の常識が通用する現代人、佐助のもっともな突っ込みは、いつも通り平坦な声色に乗せられており、光秀がくつりと笑って肩を竦める。やがて視線を秀吉へ流し、凪と繋いだ手を引いて彼女を自らの方へ引き寄せた。

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