• テキストサイズ

❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第2章 武将と五百年後ノープランツアー 後



「そのように肌を沢山晒されていては、お体に障ります。陽射しも強いですし、私のもので恐縮ですが、せめて浜に居る間だけでもこちらをお召しください」

彼方の格好は凪より遥かに際どい。ビーチにはもっと際どい女性も沢山居るが、それはさておき彼方の格好を色んな意味で案じたのだろう。三成は戸惑いを覗かせつつも、自らが着ていた薄紫色の薄手のパーカーを脱ぎ、それを彼女へ差し出した。目の前の衣服に目をぱちくりと瞬かせ、三成とパーカーを見比べた後、彼方が笑って片手を振る。

「心配してくれてありがと。でも私、肌強い方だし大丈夫。どっちかっていうと三成くんの方が心配だわ」
「そう、ですか……」

礼を言いつつも丁重に断りを入れれば、三成が心なしかしゅんとした様子で眉尻を下げた。キラキラ天使の笑顔が翳りを僅かでも帯びただけで、彼方の胸にとてつもない罪悪感が去来する。ひらひら振っていた片手をぴたりと止め、くしゃっと前髪を軽く乱すようにして押さえると、敗北を喫した様子で苦く笑った。

「あ、あー……分かった。分かったから!そんな捨てられた仔犬みたいな顔しないで!」
「…?何処かに仔犬が捨てられているのですか?」
「今まさに私の目の前にね!ありがと、海に入るまでだけど、借りるね」
「はい、どうぞお役立てください」
「侮れないわ、三成くん……」

観念するように慌てて声を上げると、三成が不思議そうに辺りを見回した。天然ぷりを目の前で発揮され、彼方がつい素で突っ込み、差し出されていた三成のパーカーを受け取って羽織る。その瞬間、三成が心底嬉しそうに微笑みを零し、再び天使スマイルを向けた。にこにこと微笑む天才軍師を見上げ、彼方が苦くぽつりと零し、ジッパーを中程まで上げる。三成から借りたパーカーは女性の彼方には少々大きく、半袖とはいえ肘くらいまで袖が余り、丈に至っては膝上まであった。散々イチャついていた光秀と凪が、二人のやり取りを見てそれぞれ興味深そうに目を瞬かせる。

/ 800ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp