❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国
第2章 武将と五百年後ノープランツアー 後
「心配しなくても明智さん、身体だけいい女になんてなびいたりしないって。そもそもあの人、凪以外の女に興味あるのってレベルなんだけど」
「それは勿論信じてるんだけどね……こう、色々と私の自己肯定感がどんどん低くなるというか」
「悪い癖だねーそれ」
友人の性格をよく知る彼方が半眼で指摘すると、凪は真剣な面持ちで言い切った。光秀の事は無論信頼しているが、何というかそういう問題ではない。凪の自己肯定感の低さを知っている彼方がからりと笑って指摘して、視線を待ち合わせ場所付近へと向けた瞬間、眉根をひくりと顰めた。
「うわ」
「ほら、やっぱり…!」
若干引き気味で彼方が呟きを漏らす横で、凪が予想通りの光景へ眉根を軽く寄せる。彼女等が視線を向けた先、待ち合わせ場所として指定していた男性用更衣室の前には、先に着替えを終えていたらしい武将達と佐助の姿があった、が、彼らの姿は周囲に群がる数多の水着女子に囲まれており、確認出来るのは顔だけである。
「あの人達、お決まりフラグ回収し過ぎじゃない…?」
「お決まりフラグ回収しちゃう程の顔だもん……」
きゃあきゃあと女性陣の黄色い声が周囲に響き、一人身や女漁りにやって来たらしい周囲の男達からは全幅の嫉妬を受け、イケメン武将達が────否、人一倍お人好しで女性に対して物腰の柔らかい豊臣主従がなんとか水着女子達をあしらっていた。
「そっち七人なんですかぁ?私達もちょうど七人だし、良かったら一緒に遊びません?」
「いや、連れを待ってるんだ。せっかく誘ってくれたのに悪いな」
「秀吉様の仰る通り、私達は大事な方々をお待ちしているのです。この場を動く訳には参りませんので」
「えー!?その連れってもしかして、女の子ですかぁ?」
「誰かのカノジョとか?」
ビーチで開放的になった肉食系水着女子は中々に手強い。秀吉があしらっても不満げな声を上げて食い下がり、すかさず三成がフォローを入れる。