❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国
第2章 武将と五百年後ノープランツアー 後
先程すれ違った男達の会話を何となく理解したらしい光秀が、口角を緩く持ち上げて肩を竦める。女性二人で更衣室へ向かってしまった凪と彼方を案じ、三成が心配そうに眉尻を下げた。
「凪様と彼方様……お二人はご無事でしょうか?」
「男性より女性の方が支度に時間がかかるものですし、恐らく問題無いと思いますが、少し急ぎましょう」
三成の一言で武将達に沈黙が降りる。ビーチには沢山の女性達が居るが、懸念は早々に消し去るに限る。何処と無く神妙になった武将達の空気を察し、佐助が切り替えるよう告げると、彼らは人生初の水着へ着替えるべく、更衣室の扉を開けたのだった。
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整備されたばかりの海水浴場という事もあり、更衣室はとても広々として清潔感があり、広く長い鏡や洗面所なども併設されている為、女性としては支度をするにあたって大変有り難い。更衣室には駅などでよく見られる形のコインロッカーがずらりと並んでおり、それぞれの衣服や必要なもの以外の荷物を収めると、部屋の箇所箇所へ設置されている姿見を確認した。
ひらひらとしたシースルーの黒レースがついたビキニタイプの水着は、細い紐を首裏へ回すホルターネックタイプであり、バックもレースでしっかりと覆われている。胸元こそくっきり見えるものの、コンプレックスである胸のサイズを誤魔化すにはちょうどいい作りだ。下もレースで覆われている為、くっきりとしたラインは見えず、全体にふんわりとした水着のシルエットが可愛い。
(こんなにお腹とか背中出したの久し振りかも……)
ビキニタイプである為、胸下から腹部にかけてと大腿半ばから足先、そして背中と両肩腕はしっかり露出されていた。デパートで買い物した際、つい可愛くて飛びついてしまった水着だが、武将達の事を考えるともう少し露出低めの方が良かっただろうか、と考えなくも無い凪である。
(でも光秀さんと海なんて乱世じゃ多分難しいだろうし、せっかく着るなら可愛い方がいいし……)