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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第1章 武将と五百年後ノープランツアー 前



両者共に一定の距離感を保ちつつ、鍔迫り合いをし、タイミングを図って飛び退る。再び刀を合わせながら斬撃を送り、ぎりぎりの位置をしっかりと狙って繰り出されるバランスの良い応酬はさすがと言うべきか。

「お噂はかねがね…いつか貴殿とはじっくりお話をしてみたいと思っていました。何でも身分問わず学問を学べる学問所を開かれたとか。実に素晴らしいです」
「織田軍の頭脳と呼び声高い貴殿から、直々にお褒めに預かるとは光栄だ。誰しも人は学びで己が身の振り方を選べるようになる。俺は単にそのきっかけを作っただけに過ぎない」

「あの二人、演技というより世間話じゃない?」
「でもある意味殺陣としては完璧だ。さすがは織田軍の頭脳と春日山の頭脳。互いに間合いを計算して寸分狂いない刀捌きをしてる」

三成と兼続のやり取りを見ていた彼方が思わず突っ込んだ。真面目な二人がぶつかり合うと、ああいったやり取りになるのかとしみじみ感心する横で、佐助が至極真面目に相槌を打つ。確かに二人の相性は何だかんだいって良く、客へ見せる殺陣としては一番完成されていた。

三組がそれぞれ戦いを繰り広げる様は瞬く間に人を呼び込み、一気に観客が増えた。皆スマホを片手に動画撮影する者、写真を撮る者達で溢れており、凪は端に避難しながら恥ずかしそうに顔を俯かせる。男女共に満遍なく集まったストリート殺陣アクトは、佐助の思惑以上の反響を呼んだらしい。何故なら全員顔がいい。しかも本物さながらの殺陣は迫力があり、刀捌きなどが実に様になっている。

(まあ皆言うなれば、本職ってやつだもんね)

刀の扱いが上手いのは言うなれば当然の事だ。しかしこの殺陣アクト、終着点は果たして一体何処なのか。光秀が信長を裏切り、凪を攫って逃亡、越後と甲斐を調略して、その戦い真っ只中という設定だという事は理解しているが、これではある意味バッドエンドしか想定が出来ない。

(それにあの狐のお面、渡したはいいけど一体何に使うのかな)

先の読めない展開を凪が見守る中、光秀と秀吉が距離を詰めて刀を合わせた。

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