❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国
第1章 武将と五百年後ノープランツアー 前
「俺は他に大事な役目があるから、そっちに専念する事にする」
「それで佐助、俺達を二組に分けて具体的には何をするんだ?」
佐助が加わらないのには理由があるのだが、今は恐らく説明しても理解出来ないだろう。よって適度な言葉でぼかした後、秀吉に確信的な事を問われ、一斉に感心が佐助に向けられた。
「名付けて【戦国ストリート殺陣(たて)アクト】です」
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ストリートアクトとは、読んで字の如く道端で突如として行う台本無しの即興劇の事である。せっかく乱世をリアルタイムで生きる武将たちが揃っているのだから、殺陣っぽい真似事で人々を湧かせ、盛り上げる事が出来るのではないかという佐助の案を、実はお手洗いから帰って来て、遠くでこっそり眺めていた凪と彼方に説明すると、生で本場の殺陣が見られると大興奮の彼方の同意を得て、早速その下準備に取り掛かる事となった。
ちなみにストリートアクトもミュージシャンなどと同様、パフォーマンスが気に入ったら投げ銭をする、というシステムが暗黙の了解として存在している。果たして何処までの稼ぎになるかは不明だが、やらないよりはやった方がいい。彼らは武将としては勿論の事、男として甲斐性無しにだけはなりたくなかったのだった。
「とは言え、突然長物を振り回すのは危険だし、観客とは一定の距離感を保った方がいい。………あ、これはちなみにご都合主義のフィクションだから、突っ込み所は沢山あるだろうけど、リアルな方向で考えないように俺からお願いしたい」
「おい佐助、明後日の方向見て、一体誰に話しかけてんだ?」
「こっちの話だ、深くは気にしないでくれると助かる」
くるりと身を翻して佐助がいつもの如く真顔で告げる。幸村がその奇っ怪な様へ怪訝に眉根を寄せ、双眼を瞬かせた。何処かに向かって言葉を発していた佐助が友人に向き直り、淡々と告げた後、ぐるりと辺りを見回した。ここは開けた公園内であり、正面に面した通路は沢山の人通りで溢れている。彼方が勧めてくれた模造刀屋で各種武器を用意すると、それを武将達へと手渡した。