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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第1章 武将と五百年後ノープランツアー 前



やがてよく混ざりあったそれを、やはり先端部分を隠すようにして持ったまま、武将達の前へずいっと差し出す。

「皆さん、一人一本ずつ引いてください。同じ色を引いた人同士が同じ組みになります」
「籤(くじ)引きという事か」
「はい、公正な組み合わせにする為の配慮です。よろしくお願いします」

佐助の説明を聞き、光秀が合点がいったと言わんばかりに告げた。そんな訳で武将達全員がくじを引き終わり、果たしてその内容が定かではない中、赤と青それぞれの組み合わせが決まる。

「厳正なる籤引きの結果、赤が秀吉さん、家康さん、三成さんで青が幸村、兼続さん、そして光秀さんとなりました」
「おい、何で俺が化け狐と同じ組み合わせなんだよ」
「幸村殿、これも何かの縁だろう。宜しく頼むぞ」
「見事に春日山と安土で分かれたな…と言いたいところだが」
「今回限りは俺も春日山の一員として加担させて貰うとしよう」

幸村が先端の青い割り箸を持って不服そうに眉間を顰める。くすりと小さく笑った光秀が同じく手にした先端の青い割り箸を振り、口角を持ち上げながら笑みを浮かべた。安土の面々が元々多い為、見事に赤は織田軍が固まっている。その様を見た後、兼続がテーブルの上に置いた青い割り箸へ視線を投げ、光秀へ藤の眸を流した。織田軍の中で唯一の青組である男は、冗談とも本気ともつかない面持ちで瞼を伏せる。

「秀吉様や家康様とご一緒出来て光栄です。及ばずながら、精一杯努めさせて頂きますね」
「ああ、一体何をやるのかは分からないが、働いて稼ぎを得る為だ。二人共宜しく頼む」
「秀吉さんはともかく…三成には不安しかないけど、まあ宜しく」

一方先端の赤い割り箸を持つ織田軍三人は、勝手知ったると言わんばかりに言葉を交わし合っていた。三成が和やかな笑顔で言い切る様に、秀吉も頷き返す。家康は小さな溜息を漏らしながらも、手にした割り箸をひらひらと揺らしていた。武将達六人が二手に分かれた事を受け、幸村がふと不思議そうな声を上げる。

「つーか佐助、お前はなんで引かないんだよ」

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