第1章 武将と五百年後ノープランツアー 前

千代紙のようなもので作った扇子が開いた状態でソフトクリームの横に飾られ、更に後方には【人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり】とチョコペンで実に達筆に書かれたホワイトチョコが大きく突き刺さっている。

「敦盛の圧が凄い」

真顔で佐助が突っ込んだ。武将達のものがカラフルなのに対し、織田信長さんは実に大人な男のビターな雰囲気が漂っている。

「やはり後世にも、信長様の好物は金平糖として知れ渡っているらしい」
「確かに…！なんかそのギャップみたいなのが可愛いですねっ」
「やばい、織田信長さんめちゃくちゃ良くない！？格好いいー！…あ、凪、明智さん、食べる前に主従で写真撮っていい？」
「うん、大丈夫だよ。むしろ私も撮りたい」
「凪がいいなら俺は構わない」

ソフトクリームに散らされたカラフルな金平糖が、何処となく愛らしさを醸し出す中、光秀がくすりと可笑しそうに笑った。彼方は推し武将である織田信長さんの完成度にご満悦であり、同時に届いた明智光秀さんぱふぇと一緒に写真を撮らせて欲しいと頼んで来る。実は凪も光秀と明智光秀さんぱふぇを一緒に写真に写したかった為、彼女の問いかけに乗っかる形で頷いた。光秀は端から反対する気などなく、鷹揚に相槌を打つ。

「ていうか明智光秀さん、色が凄く綺麗だねー」
「うん、綺麗だし可愛い！ソーダ味かな」

凪が嬉しそうに頷いた【明智光秀さんぱふぇ】は、下の方に透明なかき氷が入っており、そこへ重なるようにバニラアイスとソーダシャーベットが溶け込むような形で入っていた。一番下から見ると、透明から薄い水色、白といったようにグラデーションを作っているかのようである。上にはソーダ味の丸いシャーベットが二弾重ねになっていて、正面には桔梗紋を象ったホワイトチョコ、傍には生クリームと種子島を象ったチョコ、そして桃と梨が一切れずつ添えられていた。反対側には水色の千代紙で作った番傘が刺さっていて、周りにはぐるりと水色の桔梗の花を象ったチョコが飾られている。