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❁✿✾ 落 花 流 水 小 噺 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第1章 武将と五百年後ノープランツアー 前



顔を背けた事でほんのりと家康の耳朶が紅くなっている様が視界に映り、つい凪の口元が綻んだ。危険はないとの話を耳にし、胸を撫で下ろした様子で三成が警戒体勢を解いた事で、凪は改めて久し振りに電波が繋がったスマホの通知を確認する。

「……うわ、友達から凄い連絡の嵐」
「まあ現代の時間の流れが乱世とは違うと言っても、少なくとも一週間は音信不通だからね」
「うん、しかもその子とはちょうどタイムスリップする日に待ち合わせしてて、心配かけちゃったなあ」

ちなみに、凪を案じる内容を何通も送って来ていたのは、主にタイムスリップしたあの日、本能寺の石碑前で待ち合わせをしていたフランク本の持ち主である歴史オタクな友人だ。時折職場や他の友人からの連絡も入っていたが、やはり圧倒的に歴史オタクな彼女からの連絡が多い。割と頻繁に連絡を取り合っていたにも関わらず、突然音信不通になれば驚くのも当然だろう。申し訳なさが一気に心に湧き上がり、眉尻下げた凪を見て、光秀が大きな掌で彼女の頭をよしよしと撫でた。

「そこまで案じていたのなら、せっかくの機会だ。お前が無事だとその友人に伝えてやるといい」
「そうですね。理由はどうあれ五百年後に戻って来ちゃいましたし……というか、この友達が今の状況を打破出来るかもしれない頼みの綱なんです」
「え、凪さんもしかして…」

光秀に頭を撫でられていた凪は、そっと顔を上げて相手の姿を視界に入れると、小さく微笑んで頷く。凪の頭から片手を下ろした光秀が意外そうに双眼を瞬かせる中、佐助が何かを察した様子で呟く。そんな彼等の疑問へ答えるよう、凪が意を決して告げた。

「この子に、状況を説明して協力して貰います」
「……大丈夫なの、それ。実際五百年前から飛んできた俺達ですら半信半疑なのに」
「うーん、その辺りは正直賭けなんだけど、でも悪い子じゃないし、頼るならもうこの子しかいないかなって思って」
「お前がそう信じるなら俺はそれに従うとしよう」

確かに五百年前に行って帰って来た、などと告げても普通の人間はそう信じるまい。凪も逆の立場であれば容易に信じる事は出来ないだろう。

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