第16章 痴漢
ある日の朝、涼子とクグラが登校するとキクリが落ち込んだ様子で座っていた。
「おはよ〜!…キクリ?」
クグラ「なんだ?どうかしたのか?」
キクリ「あぁ…おはよう…涼子、クグラ。うん…実はちょっと嫌な事があって…。」
「嫌な事って??……まさか!可愛さ故に虐められた!?虐めた奴はどいつだ!?私が成敗してくれる!」
キクリ「違うのよ…。行きの電車で……その…痴漢に遭ってね…。」
キクリは涼子達と小学校からの付き合いで元はわりと近所に住んでたのだが中学卒業と同時に引っ越したので今は電車で3駅程離れたところに住んでいるのだ。
「なにー!?痴漢だとー!!」
涼子はかなり大声で叫ぶ。
キクリ「ちょっと!大声出さないでってば!」
「あぁ、ごめん!」
クグラ「お前って本当にデリカシーないよなぁ。」
「うるさーい!で?その痴漢どうしたの??」
キクリ「怖かったからそのまま……駅に着いたら私急いで逃げちゃったし…。帰りも電車に乗ると思うと憂鬱だわ。」
「可哀想に……。」
クグラ「俺らも電通なら守ってやれるんだけどな…。」
話しているとカンナギ、ヤタカ、ヨルナミが登校してきた。
ヨルナミ「おはようございます。」
カンナギ「おーっす!お前ら早いな!」
ヤタカ「みんな、おはよう。キクリ…君は今日も綺麗だね…まるでお姫様みたいだよ。」
「うげっ!朝から歯の浮くような台詞言ってる!!」
ヤタカ「うるさい! ……ところでキクリどうしたんだい?元気ないみたいだけど?」
キクリ「………実は、今朝の電車で痴漢に遭ったの。」
ヤタカ「なにー!?キクリの胸に触れた男はどこのどいつだー ー!?」
ヤタカは大声で叫んだ。
キクリ「ヤタカ!大声出さないでよ!それに触られたの胸じゃないから!もぅ最低!」
キクリは泣き出す。
ヤタカ「ごめんよ…キクリに触れた男が許せなくて…。つい興奮してしまって…本当にすまない。」
ヤタカはキクリを後ろから抱きしめた。
キクリ「ヤタカ…私凄く怖かった!」
ヤタカ「キクリ…これからは僕が君の家の最寄駅まで迎えに行くよ。それで一緒に電車に乗ればもう大丈夫だ。」
キクリ「それじゃ悪いわ。お金だってかかるし…。」
ヤタカ「いいんだよ。君の為にバイトして貯金してるんだから。頼む、こんな時くらい甘えてくれ。」
キクリ「ヤタカ…ありがとう。」
二人は抱き合う。
