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【FF10】緋色のそばに

第8章 ジョゼ寺院


「心配なら起こしてやる。…だから寝ろ」


「…じゃあお言葉に甘えてそうするわ」


そこまで言ってくれるのであれば起こしてくれると信じて寝ようと思い、そのまま2人で宿屋に戻った。私は自分の部屋に入って目の前にある少しひんやりとした布団の中に入る。


目を閉じれば疲れているからすぐに眠りにつけるかと思ったが、疲れすぎで逆になかなか眠りにつけなかった。


せっかく休めるのにな…と悩んでいるとアーロンが独り言かのようにぽつりと言葉を紡ぐ。






「…白魔法、覚えたんだな」








_____ああそうか。

そういえばアーロンが知り合った当時私は白魔法を会得していなかったのだと思い出す。

その時はマカラーニャの森で1人暮らしをしていた。
回復はポーションなどで事足りてたし、スフィアの原材料を探す際に遭遇する魔物を倒せればよかったので、黒魔法と剣術で十分だったため白魔法は使えなくて。






でもその後私はそのことを一生後悔することになる。








「…あの時私が白魔法を使えていたら、私は、あなたを、救えたのかしら…」




そう呟いた声に返事はなかった。
いや、返事をしていたのかもしれないがその時には重い瞼が閉じもう深い眠りについていた。


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