第8章 ジョゼ寺院
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ケガ人の回復を終える頃には夜明け前。
ふらふらと寺院から出ると、朝日が目に入りまぶしくて思わず目をつぶってしまう。こんな早朝に起きているのは久方ぶりでいつもより空気が澄んでいる気がした。
宿屋に戻って寝ようかと思ったが、今から寝たら出立時刻に間にあわなそうなので寝るのは無理かな…。
「まあでもやり切ったから気持ちはすがすがしいわね!…今日は深夜テンションで乗り切るか~」
なんて独り言を言いながら宿屋に向かうと、入口に見覚えのある紅い着物の男が立っているのが見えた。
「やっと終わったのか」
「な、なんであんたがいるのよ!まだ寝ててもいい時間でしょ?」
いつもこの時間帯は寝ている人が起きているので、驚いてしまったではないかと思わずツッコんでしまう。
「お前今までずっと働いてたんだろう」
「それはまあ…思っていたよりもケガ人が多くてね。…てかなんであなた起きてるのよ?」
「…ユウナが宿に戻ってきたときにな、足音で起きた」
足音で起きるってそんなに繊細だったかしら?
なんて思ったりしたけど口に出したらたぶん怒られるので、別の言葉をかけることにしよう。
「それでそのまま寝れなくなっちゃったの?」
「そんなところだ」
「フーン…」
「それで?寝ないのか」
まさかさっきの独り言をしっかり聞いていたらしい。
そういうのは聞かないふりするものだぞカタブツ君。
「今寝たら絶対寝坊するもの。だから寝ませーん」
「…寝たほうがいい。体調を崩されると全員が困る」
アーロンのいうことは至極真っ当である。
寝坊か寝不足で体調を崩すか…どちらにしても迷惑が掛かるのは変わらないのかと思うと、決めきれずうーんとしばらくその場で考える。