第9章 幻光河
それではさっそく先へ進もう!と歩みを進めようとした時だった。
私はリュックに腕を掴まれ呼び止められた。
「あ、ねぇねぇサーシャ」
「なあに?」
「さっきはごめんなさい」
「え?何が?」
突然謝られる理由が思い当たらず私は彼女になぜかと聞き返した。
すると今度は私のそばに近寄り、耳元でこそっと耳打ちする。
「幻光河で河に引きずり落としちゃったこと」
「あ!!」
何か見覚えがあるなと思ったら、リュックはさっき幻光河で襲ってきたアルベド族の女の子だったのだ。
でもなぜアルベド族が召喚士を…?
そう思い単刀直入に聞いてみることにした。
「1個聞きたいんだけど…なんでユウナを襲ったの?」
「…ごめん。それはまだ言えない。でもいつか絶対話すから!…それまで待っててくれないかな?」
その彼女の顔はさっきまでの明るいニギヤカ担当の笑い顔ではなく何かを真剣に考えている行動している顔つきで、決して嘘をついているようには見えなかった。
そのような顔をされたら信じてあげるしかないと思い、私はこれ以上追求するのを止めて彼女の肩をぽんと叩く。
「…わかったわ。その代わりいつか絶対話すのよ?」
「うん!!!サーシャって優しいんだね~」
そういうとリュックは思い切り私に抱きついてきた。
もし娘がいたらこんな感じなのかと思いながら、彼女の頭を優しく撫でる。
「あ。あと、私アルベド語分かるからそれで話してもバレバレだからね!」
「え?!そうなの!サーシャって頭いいんだね!」