第8章 ジョゼ寺院
「うう…眠すぎる」
朝なんとか起きて支度をし宿屋を出て行くと、もう既に皆が外で待っていた。
約束通りアーロンはちゃんと起こしてくれたので寝坊して迷惑をかけるという事態は免れたのだが、如何せん眠気は消えてはいない。
「サーシャ大丈夫か?」
「キマリ心配してくれるの?ありがとうね。…あれそういえばユウナは?」
「まだ、起きてこない」
ユウナも私よりは早く休めたとはいえ、遅くまで頑張っていたのだから疲れがたまっていたのだろう。
しばらく寺院の出入口付近に並んで待っていると、ユウナを呼びに行っていたらしいティーダが中から一人で出てくる。
「よ~お、寝ぼすけ」
「ごめんなさ~い!」
ワッカの言葉にユウナが慌てて皆に頭を下げながら飛び出してきた。
「……ユウナ、寝癖が取れてないわよ」
「え!?」
ルールーの言葉にユウナは急いで頭をおさえた。
身支度は整えたつもりだったが急いで出てきた為、疎かになってしまったのだろう。
「寝癖の召喚士なんて、皆がっかりだぞ」
「起こしてくれればいいのに」
「声はかけたよ。でも口開けて眠ってたしね」
笑って答えるルールーに、ますます膨れるユウナ。
まるで風船みたいだと言えばまた膨れるんだろう。想像しただけで笑みがこぼれてしまう。
「今日は何だか皆イジワルっすね」
膨れたままユウナが皆に言えば、ますます大きくなる笑い声。
そこで、滅多に笑わないアーロンが小さく笑った。
「あ! アーロンさんまで!」
「さて……召喚士様の寝癖がとれたら出発だ」
それをたまたま目撃したらしいユウナがひどいと言わんばかりに声を上げれば、それをはぐらかすようにアーロンが冗談で流す。
私はユウナの傍に行き、荷物から取り出した櫛でユウナの髪を梳いてやる。
「寝癖ができるぐらい休めたならよかったわ!」
「サーシャさんまで~~!」