第8章 ジョゼ寺院
その日の夜、ユウナと私はミヘン・セッションで負傷した兵士達の治療にあたっていた。
治療を求めて兵士達が押し寄せ列を作っている。
正直、終わりは見えなかった。
このままだと明日以降の旅に支障が出る可能性があるので、なんとかユウナだけでも先に休ませたいのだが。
「よし!ユウナこうしましょう!」
「なんですか?」
「私は回復に専念するからユウナは異界送りをやってもらえる?」
「え、でもそれだとサーシャさんの負担が大きすぎます!」
そんなのはダメですと言わんばかりの顔をしているユウナ。
とても疲れているのだろう、顔色に疲労が見え始めていて。
このままでは明日以降に支障が出てしまうので、なだめて彼女の肩を掴みながら言葉を続ける。
「あなたは今日祈り子様との対面もしたのよ?…回復は私にも出来るけど異界送りはあなたにしかできない。」
「でも…!」
「この旅の主役はあなた。あなたを守るのが、ガードである私の役目。
…私も出来るだけ早く休むから、ね?」
私が畳み掛けるように諭せばユウナは渋々頷いてくれた。
ユウナは異界送りをするために部屋の出口に向かい、出て行く際に私をちらと振り返ったのがわかったので、治療の手を止めずににこりと笑って送り出した。
…今日は徹夜かな。なんて思ったりしたのは内緒。