第8章 ジョゼ寺院
にこりと微笑めば、アーロンが軽くため息を吐く。
その肩に触れようとすると祈り子様との対面が終わったユウナがよろめきながら出てきた。そのふらつく体をキマリが支える。
「持つべきものは偉大な父親ね。ガードの数はむやみに多いし、アーロン様まで味方につけて。それにシーモア様にも気に入られているみたいじゃない?『ブラスカ様の娘』って肩書きがあると違うわね」
一気にまくし立てられたユウナは一瞬きょとんとしたが、自分が貶されているのに気がついたらしく、いつもは大人しい瞳を鋭くさせてドナを睨みつける。
「父は……関係ありません。わたしは、一人の召喚士として旅をしているだけです」
言い返すユウナの言葉についつい口角が上がってくる。
ブラスカさん、貴方の娘はとっても負けん気が強いみたい。
「あら、結構なことね。でも、偉そうなことを言う前にまず自分の足でシャンと立ったら? ガードに頼ってばかりだと、いざって時に痛い目見るわよ」
ドナがそれに怯むわけもなく、言い返した後祈り子の間へ消えていった。
私たちはユウナにお疲れ様とねぎらい寺院を後にした。