第7章 ミヘン・セッション
「なんだか……居心地悪いね」
ユウナがその光景を見てティーダに囁きかけているのが視界に入った。
それにまったくといって同感だった。まあそれも悪いのはおじさん2人だというのだから、この子たちに申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
すると兵士が一人歩み出てきて、伝達事項を私たちに伝えてきた。
「そろそろよろしいでしょうか? 外で待機しているアルベド族に作戦開始命令を伝えねばなりません。ここも安全とは言えません。魔物が来るかもしれませんので戦いの準備が整いましたら、私に言ってください」
それを聞き届けたキノックが指揮台に上がる。
「キノック老師、お願いします」
その言葉に頷いて前に進み出るキノック老師。
ロッドを握り締めて、ユウナがポツリと呟いた。
「『シン』は来るのかな」
「『シンのコケラ』を取り戻しに必ず、やってきます。念には念を入れて、コケラに悲鳴をあげさせるのです」
ユウナの呟きを聞きとがめた兵士が、力強く頷いて作戦の一部を簡単に説明する。
それを聞いてアーロンが海の先を見据えながら、ぽつりと呟いた。
「そんなことをしなくても『シン』は来る……」
その言葉をかき消すように作戦が始まった。
『シンのコケラ』が入った檻に電流が流れて中に入っている魔物が暴れ始める。
「あれ大丈夫なのかしら…」
そう心配していると案の定檻が壊れておとりが飛び出してきた。
複数の『シンのコケラ』が、先ほどの電流でくっついて新たな進化を遂げたらしい。
姿がまるで大きなムカデだ。