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【FF10】緋色のそばに

第6章 キノコ岩街道


司令部周辺まで来ると崖下の浜辺でたくさんの兵士が『シンのコケラ』を一つの大きな檻に収めているところだった。
『シンのコケラ』が暴れて吊り上げられた檻が揺れている。


それを見たワッカがため息とともに悪態を吐いた。




「ちぇっ……失敗確実だっつーのによ」


「やめようよ、もう」



それを聞いたユウナが俯きながらもしっかりした声でワッカを制止する。
その硬い声にワッカが振り返って、困惑した表情でユウナを見つめた。



「無謀な作戦かもしれない。教えに背いてるかもしれない。だけど、討伐隊もアルベドの人たちも……すごく真剣だよ。みんな『シン』を倒したいって、心から願ってる。その気持ちは、わたしたちと全然変わらない。そう思わない?」


「へっ、わーったよ。でもな、オレは機械を認めない。教えに反することは認めない!」




可愛い妹にそう諭され心のどこかではワッカもそう思っていたのかもしれない。
素直に返事できないのは彼がまだ従順なエボンの信者だからだろう。

そこへルチル隊長が現れてユウナに声を掛けてきた。




「召喚士様、こちらでしたか。司令部はあちらです。キノック老師もいらっしゃいました」


「キノック様もですか?」


「はい、ユウナ様もお急ぎください」




それだけを伝えてルチルは走り去ってしまった。

…キノック老師までいるのか。これは本格的に顔を隠さないといけないわね。
私は着ているコートの前を完全に閉めて、フードを目深にかぶった。

その様子に疑問を持ったのかアーロンが顔を覗き込みながら話しかけてくる。




「どうした急に」


「……色々とあるのよ」




私はアーロンの問いに答えたくなくて適当にあしらい、彼を置いて司令部へと歩き出した。

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