第6章 キノコ岩街道
「あんなもの作ってたのか」
「……この10年、ただあなたを待っているだけの女にお思いで?」
作戦司令部に向かっている途中、後ろからアーロンに話しかけられる。
「…ふ。頼もしいのは相変わらずだな」
珍しくアーロンから素直に褒められて、サーシャの胸中は嬉しい気持ちでいっぱいになる。
彼に会えなかったこの10年間ずっと考えていた。
召喚士の運命から逃げ出した自分がスピラを少しでも救うことはできないか。
そして考え付いたのが『お守りスフィア』だ。
『シン』を倒すことが出来ないのならば、せめて『シン』のせいで死んでいく人たちを減らせればという結論に至った。
理想には程遠いけど少しでも多くの人が救えるのであれば、きっとそれは無駄じゃない。
「…もう二度と後悔したくないからね」
そうサーシャが呟いた声はきっとアーロンの耳には届いていないだろう。