第6章 キノコ岩街道
2人ともビサイドで一緒の時を過ごした大事な人だ。
意味もなく命を落としてなんかほしくない。
でも彼ら自身がそれを望んでいるならば、その覚悟を第三者が否定する権利はないのだ。
「…シンを倒したい。この気持ちに嘘はありません。覚悟はとっくに出来てます」
そうはっきり目をみて話す彼を見て、彼はとっくに覚悟を決めてしまったのだと痛感する。
「そう、なら何も言わないわ…あ、そうだこれあげる」
そういって私が懐から取り出したのは淡い緑色をしたスフィア。
「それって…!」
「そう。みんなの協力で作り上げてやっと完成できた『お守りスフィア』よ!」
以前ユウナやルール―にはたくさん協力してもらったので、一緒に完成を喜んでくれる。ルッツやワッカにも試作品を何度か見せたことがあるので、知っているはずだ。
そのスフィアをルッツに手渡す。
「せめてもの私からのエールよ。」
「ありがとうございます…!でもいいんですかせっかくの完成品なのに」
「馬鹿ね。使ってもらわないと意味がないでしょ。もともとこういう意図で作ったものなんだから。」
ルッツはもらったスフィアを強く握りしめ、懐にしまった。
「すいません、時間なんで行きます…この分も頑張ります!」
「…死ぬんじゃねえぞ!!」
ワッカからの激励をもらってルッツは立ち去ってしまった。