第5章 ミヘン街道
すると私の様子を心配したキマリが、後ろを振り向き私の顔を覗き込むように目線を合わせる。その彼の表情は普段の彼と比べると、いささか不安そうな顔をしていて。
「サーシャ」
「あ、ごめんねキマリ。」
「顔色が悪い」
そうキマリに言われて、自分がそんな顔に出ていたのかと気づかされる。もし本当ならば彼が心配するのも無理ないだろう。
「無理はするな」
「うんありがとう。」
キマリに一言お礼を言うとキマリはユウナの後についていった。
彼とも長い付き合いだから隠そうとしてもすぐに気づかれてしまうようだ。
ほかのみんなにはバレないように頭の中で気持ちを切り替え先へ進もうとすると、先ほどまで言葉を発さなかったアーロンに手首をつかまれ引き留められる。
「サーシャ」
「なに?」
「俺の側を離れるなよ」
「え?」
「ティーダと同じだ。俺も奴が気に食わん。何をしてくるか分からんからな」
アーロンはすでに遠くに行ってしまったシーモア老師を睨みつけている。どうやら彼がシーモア老師を気に入らないのは当たっていたようだ。
「あなたが守ってくれるのでしょう?なら安心じゃない」
「…行くぞ」
ぶっきらぼうに掴んでいた私の手首を振り払いさっさと先に歩いて行ってしまうアーロンに追いつくよう、私も彼の後を駆け足で追った。