第5章 ミヘン街道
ルカでアニマを召喚して活躍したシーモアが供を連れて現れたのだ。
私はさりげなくキマリの後ろへと隠れる。
「は、はいっ!」
「どうしましたか? お困りのようですが」
「実は……」
シーモアの優しい言葉に、ユウナが検問を振り返る。
その視線で何があったのか察したシーモアが軽く頷いた。
「なるほど」
そう言い残して一同から離れてシーモアは検問へと向かう。
皆が何をするのかと見守る中、門衛がシーモアに近付いてくる。
「お待ちしておりました。作戦司令部にご案内いたします!」
「その前に、頼みがある」
敬礼をしてシーモアを迎え入れようとした門衛の案内を止めて、笑顔の仮面を貼り付けたままシーモアが言葉を続ける。
「はっ! なんなりと!」
「召喚士ユウナ殿とガードたちも、通してほしいのだが」
「お言葉ですが、シーモア様……」
「君に迷惑はかけない。責任はすべて私が取る」
言いよどむ門衛の言葉をさえぎるように言い放ったシーモアに、少々考えるそぶりをして頷いた兵士。
「かしこまりました。通行を許可いたします」
さすが老師様。ここは彼に感謝せねばならないと思いながらも、直接お礼を言うことはなかった。
「さあどうぞ」
「あ……ありがとうございます」
こんな簡単にいくとは思っていなかったのか、ユウナは呆気に取られたようにお礼を言った。
シーモア老師はそのままその場を後にした。
「ユウナ行くわよ」
「う、うん!」
ルールーに促され先へと進む。
すると、ティーダが不機嫌そうな声で吐き捨てた。
「えっらそうなヤツ」
「偉そうじゃなくて、ほんとに偉いんだよ」
エボンを信仰しているワッカが誇らしそうにティーダを窘める。
見た感じティーダは彼のことをあまりよく思っていないのだろう。
まあそれはきっとそこのカタブツも同じなのだろうけど。