第2章 ビサイド島
「サーシャさん!」
大きな声で私の名前を呼ぶ彼女こそ、先ほどから口にしているユウナである。
彼女は私の姿を見つけたからか、こちらに駆け寄ってきた。
「おかえりなさいユウナ!無事に終えられたみたいね」
「はい!私……召喚士になれました!」
「おめでとう…ユウナ」
そういいながら抱き着いてくるユウナを強く抱きしめ返す。
すると瞬く間にビサイド中の人達がユウナを囲んだ。
無事召喚士になれたからという理由もあるのだろうが、ユウナだからこそ、こんなにも皆が祝福してくれるのだろう。
「ほら、みんな、あなたが召喚しているところを見たいんじゃない?」
「そうだぞユウナ。みんなの前で披露してくれ!」
ワッカがそう叫ぶとユウナは返事をし、ヴァルファーレを召喚してみせた。
「鮮やか…。きっとブラスカさんも陰で喜んでるわね…」
そう一言呟くと、目から涙がこぼれるのを感じた。
____これは嬉し泣き
10年間娘同様に見守ってきた子の成長が素直に嬉しかった。
そういえば例の子はどこにいるのかしら?
まあでも今はユウナを休ませるのが最優先かと思い、みんなに囲まれている彼女に声をかける。
「ユウナ、夜まで少し休んだ方がいいわ。夜は夜でお祭り騒ぎだと思うから、体がもたないわよ?」
「そうですよね…そうします」
私はユウナを休ませるため、ルール―に預けた。
ユウナが召喚士になったということは
これから寺院巡りのため旅に出るということを意味する。
ここにはもう一緒には戻って来られないかもしれない。
なら今のうちに準備をしておこうと思い、私はその場を後にした。