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【FF10】緋色のそばに

第4章 ルカ




ユウナがティーダと、ワッカがルール―と話し始めるとアーロンはこちらにやってきて隣のスペースにドカッと座る。


「具合は?」


「ユウナが回復してくれたからもう大丈夫よ。…ここまで運んでくれたんでしょ?ありがとう」


「…これからは倒れない程度にするんだな」



皮肉を交えたその言葉にサーシャは苦笑する。
まあその通りなのだが…
もう少し優しくしてくれてもいいんじゃない?
とか言いたかったけど言わないことにしよう。

代わりに私がずっと聞きたかったことを質問する。


「あなた、この10年間何してたの?」


私たちが会っていなかった空間の10年間。

その間音沙汰もまったくなしに
一体どこにいて、誰といたのか___


一瞬聞かなきゃよかったかも。なんて思ったりしたが、彼の答えはある意味予想外のものだった。



「…ザナルカンドであいつの子守りだ」


「ザナルカンドって…

ジェクトさんが言ってたあのザナルカンド?」


「ああ」



彼の言葉で10年前のジェクトとの会話を思い出す。
その時はおとぎ話程度にしか思っていなかったのだが実際にアーロンはザナルカンドに行き、ティーダの面倒を見ていたという。



「あなた、ユウナの事私とキマリにお願いしてティーダの父親代わりをしてたってこと?」


「そうだ」


アーロンのその答えに納得しつつも疑問が残る。


なぜなら彼との別れ間際は、決してティーダの元へ行けるほどの状態ではなかったはずだ。
どうやって『あの』状態からティーダのいるザナルカンドに行ったのか?


それを聞きたいが、聞いてしまったらダメな気がしてその質問を慌てて飲み込む。

ふうと深呼吸をして、別の話題を振ることにする。



「とりあえず…またあなたに会えてよかったわ」


「ふん…」


私の言葉に微笑を浮かべるアーロン。
その久しぶりに見る彼の笑顔に思わず頬が緩んでしまう。

あまり意識しないようにしないと周りの仲間たちに気づかれてしまう。

なんて考えていると、目の前で突然ユウナとティーダが大きな声で笑い始める。






その様子はとても微笑ましくて…まぶしかった。



「……壊れたか?」


「青春じゃない?」



そうこれはあの子たちのひと時の青春___
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