第4章 ルカ
ユウナを連れ戻しスタジアムに向かうと、ワッカ達ビサイド・オーラカはティーダの活躍もあり見事優勝を勝ち取った。
「すごい……ホントに優勝しちゃった……」
「やっぱりザナルカンド・エイブスのエースなんだよ!
凄い凄い!」
「……ワッカ達も頑張ったわ」
場内もまさかの展開に興奮が冷めやまない。
だがその歓声に混じってこの会場には似合わない悲鳴のような声がするのは気のせいだろうか?
注意しながらその声がする方を見るとそこには魔物で溢れかえり、それまでブリッツに沸いていた筈の観客達が逃げ惑っているではないか。
「何が始まったの…?」
討伐隊が多く配置されている筈のこの場所にこんなに魔物がいるなんておかしい。
しかも普段と違い今日はブリッツの試合で多くの人がこのスタジアムに集まっている。
このままでは逃げ遅れる人が現れるのは時間の問題だろう。
「どうしましょうサーシャさん…!」
「この混乱を乗じてまたユウナが狙っている可能性もあるわ。
ルール―とキマリはユウナを守ってあげて。わたしはとりあえず魔物を倒してくるわ。」
「サーシャさん、無理しないでくださいね!!」
ルールーからの言葉を背に私は魔物がいる方へ走り出した。
魔物が出てくるところに向かいながらも近くにいる魔物を魔法で倒して進む。
「こんなにいるなら魔法より剣で倒した方が速いかしら…」
魔法は限界がある。
しかも今はキマリがいないので倒れるわけにもいかない。
__ならすばやい動きで全部倒していくしかない。
私は魔法の攻撃から剣での攻撃に切り替えることにした。
腰に携えている愛用のレイピアを手に取る。
「久しぶりだから手加減はなしよ!!!」
次々に現れる魔物を切り倒していくと大量の幻光虫が空に散っていく。
だが魔物は一向に減らない。
むしろ増え続けているのではないだろうかと思うぐらいだ。