第4章 ルカ
「あんたたちのせいでキマリはね…!」
「サーシャ」
怒りが止まらない私の言葉にキマリは制止の声を上げる。
それはまるで
『キマリの問題だから黙っていて欲しい』
と言っているようで、私は口をつぐんだ。
すると後ろからティーダが
「やっちゃえば?」
と、二人のロンゾ族の言葉にムッとした様子で喧嘩に拍車をかける。
そしてなぜかそれにキマリが手を出してしまい、殴り合いの喧嘩が始まってしまった。
私が怒りを抑えた意味ないじゃない!と思ったが、始まったものは仕方ないのでこれからどうしようかと考えていると、モニターからマイカ総老師の声が聞こえ振り返るとそこでユウナの姿がないことに気付く。
「ティーダ!キマリ!ユウナがいないわ!」
しくじった。キマリのことで
ユウナのガードが疎かになってしまっていた。
私達は急いでカフェを出た。
するとカフェの外には息を切らしたルールーがいた。
「サーシャさん!ユウナが誘拐されました」
「誘拐!?」
まさかとは思ったが、誘拐されたとは思わなかった。
ガードとして情けない。
「あなたがいたのに…何かあったんですか?」
「ごめんなさい。私が目を離したのが原因なの。だからこの2人は悪くないわ」
ルール―から詳しく話を聞くと、どうやら対戦相手であるアルベド族が犯人らしい。
何のためにユウナを?
だが今は理由を探るよりも早くユウナの安全を確保しないといけないので考えることを止める。
「ティーダ。あなたは試合があるのだから急いで会場に行きなさい。ユウナは責任をもって私が助けるから」
「でも…!!」
「救出したらすぐに知らせるわ。
だからあなたはブリッツを頑張るのよ?」
ティーダは少々納得できない顔をしていたがなんとか説得し急いで会場に向かわせた。