第4章 ルカ
今年はなんとシード権を獲得したようで、初戦はアルベド・サイクス。
ここ何年かはルカ・ゴワーズという優勝常連のチームが初戦だったのでずっと負け続きだったが、これなら勝てる!とチーム全体の士気が上がっていた。
「頑張ってねワッカ、ティーダ」
「もちろんす!!!」
そう勢いよく返事をしたはいいものの、緊張しすぎたワッカは今更基本ルールの復習を始めてしまった。
その様子を見てティーダは肩をすくめて、やれやれとこちらの方を見てくる。
そんな中、控室の扉がバタンと勢いよく開きユウナが興奮した様子で入ってくる。
そして何やら落ち着かない様子で息をする間もなく言葉を発する。
「聞いて!カフェでアーロンさんを見たって人がいたの!」
「アーロン!?」
ユウナの口から出たその名前に目を開く。
…あの人がここにいる!
そしてティーダもアーロンのことは知っているようで、私と同じくらい大きく反応していた。
「会いに行こう!」
ユウナの言葉に断る理由もなく、ティーダはユウナのほうへ向かう。そんな2人に近寄り、小さな声で話しかける。
「ねえユウナ、面白そうだから私も行ってもいい?」
「もちろんです!一緒に行きましょう!」
『会いたい』
とくん。と気持ちが強く高まるのを感じる。
私たちはまだルール確認をしているワッカを残し、控え室を後にした。