第2章 ビサイド島
ねえ、あなたは今どこにいるの?
あなたを待ち続けて10年は経った。
音沙汰も全くなし。
せめて生きてるなら手紙の1つでもよこしなさいよ。
これであの子たちを、この世界を救えなかったら、私一生あなたのこと恨むからね?
そんな想いを抱きながら10年、私はこのビサイド島で過ごしていた。
それ以前はマカラーニャの森でスフィア職人として生計を立てて過ごしてた。
この島の流れる時間はひどくゆっくりで、平和を感じるいいところである。
ベベルを追い出された時もここに来ればよかったかな、なんて思ったりもしたけどそれはそれで出会えなかった人もたくさんいるから文句は言わないことにしておこう。
「サーシャ」
ぶっきらぼうに私の名前を呼ぶ声がした。
「キマリ?どうしたの?」
「変なやつ、きた」
振り向けばそこにはキマリが立っていた。
彼と出会ってからも10年と少し経ったのだと思うと、出会った頃は同じぐらいの目線だったのが、見上げないといけなくなるくらい大きく成長した。
「またどっかから召喚士でもきた?いまユウナが頑張ってる最中なんだけどねぇ…」
「召喚士じゃない。ブリッツができるやつ」
「あら、なおさらブリッツが弱いこのビサイドに来る意味がわかんないわね?まあ危ないやつじゃないなら別にいいけど」
たまにこんな平和な島にも危なっかしい輩が来るのだが、そういうやつじゃないのなら基本的にこの島の人々は来訪者を歓迎してくれるだろう。
「ていうかキマリ。あなたユウナについてなくていいの?」
「キマリ、サーシャも大事」
「あらありがとう。でも大丈夫よ。いまはユウナのそばにいてあげて。ルール―だけじゃユウナ、心細いかもしれないでしょ?」