第3章 キーリカ寺院
しばらくすると、ユウナは異界送りを申し出た。
むせびなく住民に見守られながらの初めての異界送り。
幻光虫がユウナの周りに舞い始める。
それは幻想的でもあり……不気味でもあった。
初めて見る異界送りにティーダは目を奪われているようだった。
「私うまくできたかな…」
自信なさげそうにユウナがこちらに戻ってきた。
「初めてにしては上出来よ。ね、サーシャさん」
「うん。ユウナ、お疲れ様」
ルールーはガードになったのはこれで3回目。
他の召喚士の異界送りも見てきたことだろう。
そんなルールーに上出来と言われれば自信を持って良いということだ。
ふとユウナの顔を見ると彼女の頬には涙が伝っていた。
私はその涙をそっと指で触れ拭ってやる。
「きっと皆、異界に行けたわ。でも次は泣かないようにね」
「うんっ……」
そう彼女は静かに笑うのだった。