第3章 キーリカ寺院
「っ……!!」
その光景を見た誰もが言葉を失った。
『キーリカに家族がいる』
そう言った船員達はその場で泣き崩れていた。
辺りに散乱した木片や瓦礫はかつて家だったものだろうか
静かにゆらぐ海面に浮かんでいるモノはつい先程まで息をしていた生きていた人達だろうか
やるせない、行き場のない様々な感情がキーリカ全体を覆っていた。
「私、『シン』を倒します。必ず倒します」
誰もが言葉を失い静寂が包む中、凛とした声が響く。
『シン』の被害を目の前にして、ユウナはきゅっと唇をきつく結んだ。
自分の中に会った覚悟が、更に揺るがないものになったのだろう。
そんなユウナの後ろ姿を私はまっすぐ見つめていた。
彼女は自分が逃げた運命___
召喚士としての道を
果てしなく、苦しい道のりを
辿ることになるのだった