第2章 ビサイド島
「皆!『シン』の背ビレを攻撃して!それ以外の魔物は私がやっつけるわ!」
その声でみんな理解したのか、遠距離からの攻撃が得意なワッカとルールーが中心になって『シン』の背ビレを攻撃する。
しかしなかなか『シン』はひるまない。
「しょうがないわね…じゃあとびっきりのやつくれてやるわ!」
私は魔力を一気にため込み、そして放つ。
「フレア!!!!」
その一撃が効いたのだろう。
『シン』は悲鳴のような声をあげて暴れ始めた。
そして船体は再び大きく揺れ、思いっきり海水を上からかぶる。
『シン』の行方を目で追えば、それは進行方向を変えることなく巨体を揺らしながら進んでいた。
残されたのは無念と言っているかのような根元から折れたワイヤーフックの台座。
「みんな、大丈夫…?」
とりあえず一難は去ったと思いみんなの安否を確認しようと立ち上がると。先ほど久しぶりに大きな魔力をつかってしまったため、足元がおぼつかずふらついてしまう。
「サーシャ!」
そのまま倒れ込むとキマリが支えてくれていた。
「ごめんなさいキマリ。…私はいいからユウナの近くにいなさい。まだシンが完全にいなくなったとは限らないのよ」
「私は大丈夫です!…サーシャさんこそ魔法使いすぎです。回復させて下さい」
私の近くに駆け込み、ユウナは白魔法で回復してくれた。
「ありがとう、ユウナ」
ユウナにお礼を言い、もう一度周りを見回すとティーダがいないことに気づく。
「ワッカ!ティーダがいないわ。」
「うえ!?ほんとだ、あいつまさか…!!」
恐らくティーダは海に落ちたんだろう。
ワッカは急いで海に飛び込んでいった。
ブリッツの選手だというのだから海の中でも多少大丈夫だとは思うが、海の中にも『シン』のコケラがいる可能性もある。
その後やはり海の中に『シン』のコケラがいたそうで、倒してきたという2人を乗せ、船はそのまま目的地であるキーリカに向かった。