第2章 物の怪と札師
斎が先に立って歩いて行った先の家は
大きくもない普通の屋敷だった。
が、斎には
(小鬼や物の怪が、入口に繋がれてる…)
のが見えていた。
「お前達、どうして此処に繋がれているんだい?」
「⁉︎」
斎が突然、しゃがみ込み、何もない門の隅に話しかけてる姿に基兼がギョッと眼を剥いた。
「そうか、もう3日、お前は7日も繋がれているのか…難儀だな。
解放してやろうか?………ん?
出来るのか?
やってみなければわからないが、
やれば出来るんじゃないかな〜」
ニヤニヤと笑い立ち上がり、
歩き出すのかと思ったら。
「フウハク ライライ セツパ」
男にしては澄んで通る声と共に指で呪法を切る。
一瞬、風が渦巻いて消える。
「な…何したんだ?
基兼が眼をパチクリさせている。
「繋がりを風で切ったのさ」
斎だけが知ったり顔で笑った。
入口の寂れた門を潜ると、
人が腕組みをして仁王立ちではだかっていた。
「な…ん、だ…この巨人は…」
基兼が恐声を溢した。