第2章 物の怪と札師
はははは
「その通りだね。
適材適所、見合った能力でなければ反映されないのだよ。
残念ながら私の力は使役する側なんでね」
斎は男にも拘らず、女性のように妖艶な美しい笑みを見せた。
「ふぅーん、そんなもんなのか」
「ああ、そうさ。
じゃぁ、行こうか」
「住まいは判るのか?」
「大丈夫だ、さっきからずっと案内人がいるよ」
基兼には見えない案内だ。
斎が以前放った使役鬼。
それに案内され、斎と基兼は歩く。
「古都…か。
平安に遷都されて随分経つからか?」
基兼が哀寂の口調で、周りを見回す。
誰も住まない屋敷、
誰も通らない道、
話し声も聞こえない、静かな荒地。
「静か過ぎて怖いな」
基兼がポツリと呟く。
「捨てられた町だから。
逆に活気があったら私は怖いけどね」
怖くも無さそうに涼やかな声で斎が言った。
「ほんと、お前は……」
基兼が呆れる。