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物の怪の札

第3章 二話 首が飛ぶ京




「くっそぉぉ、
のらりくらりと言い逃れおってぇぇ!」
「おや、ない血が頭に上ったのかな?」
クククク斎は嗤う。
「おのれぇ!
その軀、寄越せぇぇ‼︎」

地を蹴って斬りかかってくる基兼の速さは尋常の者ではなかった。
が、キイィーン!
基兼の黒い刃を斎は銀白の刀で受け止めた。
「私に勝てると思っているのか…ククク」
斎は嘲笑うと、基兼から飛び退き距離を取り、

「カミミノカミ、汝ハメツノハカネ、タイシン!」
呪文を唱えた。
瞬間、カッッと眩い光が放たれた。
その光は、一直線になり、
基兼に向かって矢のように差し込む。

「ゔっ!ぐぅ……ぅぅぅぁぁぁ……ぐぁ…」
軀を反らしたり折ったり、喉を上げたり、苦しげに掻きむしったりしている基兼。
そして、
『ヴァァァァァ〜』と地鳴りのような人ではない叫びが響いて…
基兼の軀から真っ黒な『何か』があっという間に剥がれ落ちた。
『お、の…れ……無念じゃ……」



鎌鼬が錆びて折れた刀を脚で押さえて、
刃に噛み付いて、斎を見ていた。

「鎌鼬、よくやったね。
お前は、ちゃんと祀ってやるから」
斎は白い鎌鼬の頭を撫でると、錆びた刀を手に取り上げた。

「晴明様の処へ行くとしよう」






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