第3章 二話 首が飛ぶ京
内裏、陰陽寮頭、安倍晴明。
天文地理学から奇怪な事まで、
怪しげな妖術で解決したという、偉大な陰陽術師。
その人は斎にいつも無理難題を押し付ける。
「まあ…仕方ないよね…晴明様だから」
斎は独言、苦笑を溢した。
「やぁ、斎、ご苦労様だったね」
「刀の付喪神が悪鬼と化し、疫病で死んだ人の首を斬り落としていました。
斬り落とされた者は黄泉にも行けず、彷徨い、
髑髏になり、首を蹴りながら軀と行き場を探していた様です」
「ああ、そうなんだね」
知っていたような、それでいて適当な答えが返ってきた。
「ああ、そうですよ。
さあ、晴明様、此方がその刀ですっ。
後は任せましたよーー」
飄々とする晴明を睨みつけた斎は、錆びれた刀を押し付け、立ち上がる。
「あ!斎っ!何故、もう帰る⁉︎」
晴明が慌てて斎を呼び止めるが、
「当分、私を呼ばないで下さいねっ」
怒りの気を晴明に放つと、斎はさっさとその場を去る。
「あーぁー、怒りっぽいんだから」
独り残された晴明が愚痴る。
「聴こえてますよっ!
貴方のせいですからね‼︎」
斎の声が廊下から飛んできて、晴明は肩をすくめた。