第3章 二話 首が飛ぶ京
基兼の軀で高らかと嘲笑う刀の妖怪。
それを斎は忌々しげに睨みつけている。
「…五月蝿い刀だな……
お前が、その軀にいても私の相手ではないよ。たかが、付喪神の成れの果てのくせに」
いつもの温和な斎はいない。
「馬鹿にしおってぇぇ‼︎
許さぬぞ!」
刀に取り憑かれた基兼の眼が真っ赤に煌めいた。
「う……」
赤の眼に貫かれ、身動きが取れなくなる。
「お前、なかなかやるね」
薄笑いを浮かべる斎に基兼は、苛立ちをしめし、身動きの取れない斎を
ガッッ
「グッゥぁ」
殴り飛ばした。
斎は殴り飛ばされたお陰で距離と身動きが取れるようになる。
しかし、斎の唇から血が出ている。
「貴様の血を飲めばもっと強くなれるのだろうなぁ〜」
うっとりとした様子で基兼の中の刀が呟いた。
「……まぁ、そうだけど……
簡単には飲ませてあげられないね」
斎はまたも言わなくていいような事を言う。
まるで刀を挑発しているとしか思えない。