第3章 二話 首が飛ぶ京
「クフフフフ…手に入れたぞ。
我を受け入れられる肉体…」
基兼はユラリと立ち上がると、刀を握り直した。
その刀はもう錆び付いてボロボロの斬れない汚いモノではなくなっていた。
禍々しい鈍い黒銀色に輝く刀。
それを持つ基兼の形相な鬼の様。
「誰かが…」
暗闇で銀色の物体を追っていた斎は、
その物の気ぐ変わった事に気づいた。
(もうそこまで来ていたのに)
斎は先に辿り着き、正体を縛り上げようと目論んでいたのだ。
「仕方ない……」
静かに眼を閉じると口の中で呪文を唱える。
「…カマ、切り裂けっ」
言い切って、指先を十字に斬ると、
闇にカッと明るい光りが差し込んだ。
「貴様、術師か」
目の前に突然現れた斎に、基兼が基兼の声ではない声で言った。
「鎌鼬、ありがとう」
斎の首には、真っ白な鼬(イタチ)が襟巻きのように巻き付いていた。
「君が首を作っていたんだろう」
斎が鋭く冷たい瞳を基兼に向ける。
「首も髑髏も私にはどうでも良い。
だが、君がその軀を乗っ取る、というなら話しは別。
なぜなら、その軀は私のものだからだ」
斎が冷んやりとした気を纏う。