第3章 二話 首が飛ぶ京
京都の外は病が歩く。
外は歩くな。
闇夜でなくとも病みが来る。
最近ではそう言われている程だった。
ちゃんとした物を食べれていない貧困層は、すぐに疫病に罹り死んでゆく。
そんな者達を埋葬する場所は既に満杯で、
埋葬出来ないで、あちこちに野晒しになっている。
「ここは…」
(風葬場か)
晴明が気を辿って着いたのは風葬場だった。
基兼と晴明が辺りを見渡す。
転がされただけの屍、そしてその数に
心が痛む。
小鳥の眼の晴明が周囲を観察する。
(基兼)
「はい、なんでしょう」
(斎の名を呼べ)
「斎が此処に?」
(出られないでいる)
「出られない?」
晴明も斎も断片過ぎて基兼には話が見えないことが多い。
けれど、その一言は
蜘蛛の糸を手繰る様に細くとも、
重要だと言うことを基兼は経験で知っていた。
「斎っ!斎ーーー‼︎‼︎」
(煩い!大声で叫ぶな…)
「え?だって、晴明様が呼べって…」
(耳がもげるだろうが)
「え?鳥って耳ついてないですよね」
(物質的なものを言ってない…)
小鳥の晴明が拗ねたように言った。
(えー…心の中で呼べって事だったのか?
ちゃんとわかる様に言ってくれよ…)