第3章 二話 首が飛ぶ京
ヨミへの境。
黄泉比良坂か。
この世とあの世の境の場所。
人でありながら、人ではないその者が集まるのがココ。
イザナミの子が蛭となって流れ着いた場所。
死んだでもない、
生きているでもない、
いや、生きているが死んでいるような者。
生きる意思のない者達、
もうすぐ死にゆく者達。
髑髏はそんな首の皮一枚で繋がっている者の首を持って来ては鞠の代わりして遊んでいたのだ。
此処は、平安京の端の恥。
恥、それは貧困に喘ぐ者が捨てられる場所だからだ。
「平安とは何処にあるのだろうな」
周囲を見渡した斎は独り呟いた。
天災、飢饉、疫病、戦、
災いは弱い者を直撃する。
その為の天文学を軸に陰陽寮が存在するのに、京の中でしか機能していない事に心が痛む。
(髑髏は………)
斎は眼を閉じて見えない眼で周りを見る。
(アレは)
見えたのは鈍い銀の物体。