第3章 二話 首が飛ぶ京
基兼が見たもの、
斎が見ていたもの、
それは、闇の中、屍人が人の頭を投げ合って笑っている光景。
「髑髏(しゃれこうべ)が…笑ってる…」
「ほぉ、お前、アレが笑って見えるのか」
「どう見ても笑ってるだろうがっ」
基兼はそう言うが、髑髏は骸骨だ。
笑う訳がない。
笑って見えるのは、そういう類が元々見える者だけなのだ。
もちろん、斎にも髑髏は笑って見えている。
そんな事、基兼は知る訳がない。
「で、だ」
基兼が真顔で髑髏を見ながら言う。
「で、なんだ」
「髑髏が投げたり蹴ったりしている首は何処から来たのか」
「まぁ、晴明様が知りたいのはそこだろうね」
「だとして、誰に問うのだ?
あの髑髏に問うのか?」
「基兼、冴えているな!」
斎がポンと手を打った。
「いや、待てよ、斎…
『何処で拾いましたか』と問うのか?」
基兼が混乱気味に額を押さえている間に、
斎は躊躇いもせず、髑髏に近づき
「お前達、蹴鞠が上手いな」
と蹴鞠に輪に加わってしまった。